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重力に従って下を向いためっちょの瞳は、濁りがかったビー玉のようだった。
ああ……魂が抜けたとは、こういうことを言うのだな……
感情に呑まれ、ショートした頭でぼんやりと思った。
「よかったね……家で……」
母が壊れ物を扱うように、そっとめっちょに膝枕をした。
「家で、死ねて、よかったね……」
ゆっくりとめっちょの丸い額を撫でながら、優しく紡がれた母のこの一言で、私は漸くめっちょの死を受け入れることができた。
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