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ニサンに向かう道中でも、私は泣きっぱなしだった。
本当は一日中部屋に引きこもっていたかったが、生憎今日は開店準備の当番であり、めっちょが亡くなったのは出発予定時刻の十分前だった。
運転しながらも、涙は次々と溢れだし、塗り立てのファンデーションに筋を作る。
あの時……私が階段を上がる時
めっちょがずっとこちらを見ていたのは……こうなることを予測していたからなのではないだろうか?
だから私に
『行かないで』
って、訴えていたのではないだろうか?
なのに私は――
ごめん、めっちょ。
気付けなくてごめん。
ごめん、めっちょ。
こんなことなら、どれだけ落ち込んでても、眠くても部屋に入れて上げればよかった。
ごめん、めっちょ。
バカなこと考えて、ごめん……ごめん……
車の中で流れていた曲が丁度、大切な人との別れを歌う曲で、堪らず私はそれを停止させた。
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