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私の心情を知らない男性は、私が必死に涙を堪えている間も、やたら『死んでしまって』を連発する。
やめてよ……
頼む……やめて……
大声で泣き叫び、男性の『死んでしまって』を中断してしまいたい。
せめて事情を話し、今はそのNGワードを控えていただくよう、冷静に諭そうか……?
…………
………………
でも……この人も、その『死んでしまって』を経験してきたんだよね……
数年前とは言え、両親を亡くしたんだよね……
まだその傷が疼いて、痛くて、どうしていいかわからなくて、誰かに聞いて欲しくて……
「そう……ですか……」
一度深呼吸してから、私は右手を握り込んだ。
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