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あの日から全く止まることのない涙と悲しみごと飲み込むように、私は玄米を口一杯に掻き込んだ。
食事を始めた私の雰囲気を察してか、母が慌てて振り返る。
「“それ”食べちゃダメだよっ?! 」
「わかってるよ……」
母の言った代名詞が何を指すかなんて、言われなくてもわかっていた。
私が味のない食事を摂り始めてから暫くすると、母の鼻をすする音が聞こえた。
母がどんな顔をしているかなんて振り返らずともわかっていたし、今振り返れば私もきっと同じ顔になってしまうだろう。
私が敢えてそこに触れずに作業化した食事を続けていると、母が横にきて、スライスしたリンゴののった小皿を手に取った。
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