水と水

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「あの日も、病院から帰ってきたら、ちゃんと、爺ちゃんと婆ちゃんの部屋に挨拶しに行って…… 粗相をしないように父さんと散歩に行って……ソフィアが帰ってくるまで待ってたの……」 いいのに……最期くらい思いっきり我が儘言ってくれてもよかったのに…… 死ぬ寸前で辛かっただろうに、最後の力を振り絞ってくれてたんだね…… 「お母さんが外で洗濯物干してる時も、窓からこっち見てたから手を振ったりしてたの……でも、とちゅうからすがたが見えなくなって……せんたくもの干しおえてからもどったら、とうさんが…… “めっちょ、死んだ” って……」 ここまで話すと母は体を震わせ、また声も出ないほど泣いた。 母の背中をさすりながら、私はずっと気になっていたことを尋ねた。
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