微熱の終わり

水と水

「父さん、最期、めっちょのこと抱っこできた……？」

私の問いに母は頷くことで答えた。

「よかった……父さん、血とか苦手だったから、触れるか少し心配だったんだ……」

「触れるよ……可愛くて仕方なかったんだから……」

　めっちょの生前に母とよく、めっちょにもしものことがあった時、一番ダメージを受けるのは、間違いなく父だろうと話したことがあった。

しかし、いざそうなってみたら、拍子抜けする程のアッサリとしていた。

父は、この時を想定して、ずっと前から、誰よりも覚悟を決めていたのかもしれない。