微熱の終わり

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「そっか……」  写真の横に置かれたブルーが鮮やかな花柄の表紙のアルバムを手に取る。 ページをめくると、そこにはめっちょが我が家に来てからの成長が記録されていた。  赤ちゃんの頃は、胴の辺りが黒っぽい茶色で、まだ善悪がわからないからか家族皆歯形だらけにされたっけ……  耳が片方垂れてしまったて、父さんが心配しまくって動物病院に電話したこともあった。  賢くなるにつれ、腹黒くもなっていって、都合の悪いことを言われると露骨に嫌そうな顔したり、裏の部屋まで避難したりしてたよな。 本当に人間みたいな犬だった。   父さんとオカンが甘やかすから、我儘になっちゃったけど、私がソラリスで色々あって落ち込んでた時は、私の側に寄り添って、離れようとしなかった。
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