冷血女の涙

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 今日も新しい勤め先のマッサージ店 ――ここではニサンといっておこう―― に行く際、藍田さんが泊まっているホテルの隣のコンビニで夜食を買う。  車通りが激しく、右折しないと入れないコンビニ。 出る時はもっと不便で、平均して十分もタイムロスしてしまう。 もっと入りやすいコンビニなど、いくらでもあるのに。  品物を物色しているとき、店員でもないのに、客の来店を知らせるチャイムに耳を傾ける。 そしてチャイムが鳴る度に、出入口の方を振り返ってしまう。  グレーのスーツに、ブルーのストライプのシャツ、ワインレッドの眼鏡をかけた人が入って来てないか、確かめてしまうのだった。
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