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二人が倒れたのと一緒に棚にあった本が数冊床へと散らばった。
少し落ち着いてから、隼汰は自分の中で縮こまっている女子生徒を見た。
どうやら大きな怪我はしてないようだ。
それが分かると隼汰は、大きく息を吐いて落ち着こうとした。しかし安心した瞬間、隼汰の背中に激痛が走った。
「いてて…‥」
女子生徒をかばって倒れたために隼汰は倒れた瞬間背中をしたたかに床へとぶつけていた。その痛みが今襲ってきたようだ。それから暫くして、隼汰の上で縮こまっていた女子生徒が恐る恐る顔を上げた。
その瞬間、二人の視線が逢う。
隼汰はその瞳を見ながら、綺麗な目だなぁ、と素直な感想を心の中で述べた。
その言葉が聞こえたのかどうかは分からないが、女子生徒は勢い良く隼汰の上から降りて土下座を始めた。さりげなく顔が赤く見えるのはのは隼汰の見間違いだろうか。
「ごっ…‥ごごごごごめんなさいっ」
一瞬間。
「…‥‥は??」
いきなり自分から飛び退くついでに土下座を始めた女子生徒に、隼汰は間の抜けた返事をする。そんな隼汰に構う事なく女子生徒は土下座を続ける。
「ごめんなさいッ!!私いつもトロいって言われててっ…‥それで、それでッ…」
ドジっ子なんだ。今時珍しい…などと言うさりげない萌ポイントに隼汰が感動している間に、泣く寸前まで行ってしまった女子生徒の顔を見て我に還った。なんとかしてなだめたくて、必死で言葉を紡ぐ。
「あ、ゃ、うん。僕は大丈夫だからッ…‥君こそ大丈夫??怪我、してない??」
しどろもどろなのは隼汰にも分かっていた。しかし、今まで女子に接して来なかったのだから仕方ない、と隼汰は自分に言い聞かせた。幸い、女子生徒にはその必死さからか気持ちは伝わったようで泣くという最悪の事態は阻止できたようだ。女子生徒は一度深呼吸をしてからはっきりと答えた。
「私は大丈夫です。先輩がかばってくださいましたから」
微笑み。
そんな言葉が会うような笑み。
隼汰は思わず視線を外してしまった。赤面しているのが自分でも分かる。
「‥…先輩??」
どうしたんですか?と心配そうに見つめてくる女子生徒に、大丈夫なんでもない、と手を振って答える。
そこではたりと気付く。
━━…‥先輩??
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