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隼汰の通っている学校は、ネクタイとリボンの色で学年が分かれるようになっている。
隼汰はさりげなく女子生徒のリボンの色を見た。
━…‥赤と黄のチェック。
隼汰が着けてあるネクタイの色が青と白のチェック。一個上の色が黄緑と黄のチェック。つまり━…‥
「年下…‥??」
あぁ、だからこの子は先輩って呼んでたのか。
落ち着いて考えれば分かることを、改めて実感した。そこで自分の事を心配そうに見ている視線に気付いた。すこし照れながらも隼汰は安心させるように微笑んだ。
「ぁ、俺は大丈夫だよ」
「でもっ、さっき辛そうでしたっ!!」
「本当に大丈夫だから。君が怪我しなくて良かった」
自分でもぎこちないと思う笑顔で答えれば、相手がふいに顔をそらした。どうしたのか、と覗き込めばまたそらされる。その度に彼女はただ、大丈夫です、と言うだけで顔を見せてくれない。
そんな事を何度か繰り返すうちに、彼女がいきなり立ち上がり話題を振った。その勢いで僕も立ち上がってしまった。
「そっ…‥そう言えば先輩、まだお名前聞いてないですよね?」
「ぁ、え?名前?‥…俺の?」
隼汰が自分を指すと、相手は嬉しそうにコクコクと頷いた。その動きが小動物のようで可愛い。
「だって…‥まだお礼言ってないし、お礼したいから‥…」
だめですか?と上目遣いで見つめられると、なぜか恥ずかしくなる。
徐々に早くなる鼓動。
女子と関わって来なかった隼汰は『コレ』が何か分からない。
「ぁ、えっと…‥2年SA組の河内隼汰、です」
口から心臓が飛び出しそうな程緊張して答えた。相手は余程嬉しかったのか、目をキラキラさせながら復唱する。
「河内隼汰先輩…‥素敵なお名前ですね」
「そう、かな…普通の名前な気がするけど」
「そんな事無いですっ!!先輩にすっごく合ってます」
名前でそんなに力説されてもなぁ、と心の中では思っていても顔は彼の知らない所で真っ赤になっている隼汰だ。とにかく話題を自分の名前から離さねば。
「えと…‥その、君の名前は?」
「ぁ、私の名前まだ言ってないですよね。私は1年B組の宮東あずさ(クドウアズサ)です」
彼女は指で名前を本棚に書きながら言った。
「宮東さん…‥可愛い名前だね。あずさって平仮名なんだ?」
「はい。なんか漢字で良いのが無かったみたいで」
単純ですよね、とあずさは笑って言った。
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