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あずさの背中を見送ってからしばらくして、廊下から慌ただしい声と足音が聞こえてきた。
「シューンーッ!!!すっげぇぞ!大ニュースだ!!」
図書館に入っても尚騒ぎ続ける鷹に対して大げさにため息をついた後、隼汰は低く言った。
「お前ココがどこだかわかってんのか?いい加減…」
「そんな事よりもすげぇんだって!!」
注意しようとした声も聞かずに騒ぎ続ける鷹に隼汰は再びため息をつく。それから何気無く図書館に自分達以外の生徒が居ないことを確認してから、深く息を吸った。
「それでその子がさぁめちゃくちゃかわい‥」
「いい加減にしないと、殺す」
鷹の動きが一時停止。
「こ‥…殺す?」
「有無言わせず、言う暇も与えず、殺す。瞬殺する」
「えー…‥‥‥」
「さぁ、選べ。僕に瞬殺されるか、黙って生きるか」
「…‥‥黙ります」
「よろしい」
それから隼汰は本を閉じ、鷹に向き合う。
「で?何だよ、大ニュースって」
そこでやっと元気を取り戻した鷹が、改まったように繰り返す。
「あのなっ、1年ですっげぇ可愛い子がいるんだよ!!やばいって、あれは天使だって!!」
「リアルには興味ない。僕は‥」
「人形にしか興味がない、だろ?」
「…‥分かってるならわざわざ言わせるな、めんどい」
そこで隼汰が立ち上がり、2人はそのまま玄関に向かう。
「でも可愛いんだけどなぁ…」
「僕はリアルは苦手だ」
「えー‥…シュン絶対見たら好きになるし」
「ならないな、それに…」
下駄箱から靴を投げてから、隼汰は自信ありげに言い放つ。
「僕が好きになるのは可愛い可愛いドールたちだ」
「…‥はいはい、そーですか」
先ほどと同様に鷹が先に白旗を振る。それを見てから隼汰は今日の本題について語りだした。
「で、今日うち来るって事でいいんだよな?」
「あぁ、見せたいんだろ?ウエディングドール」
「見せたいッ!!」
見せたい、と言いながら再び目をキラキラさせる隼汰。
やばい、この状況は非常にやばいと鷹の中で警鐘が鳴る。
なぜならこうゆう時の隼汰は人形作りの専門用語を駆使して、その作り方の細部に至るまでの萌ポイントを語るからだ。
「まず注目して欲しいのは…‥」
「あー、もぅ、分かったから!!そぉゆう行って見てからにして!!」
「なんだよ、タカだってガンプラの事だと同じになるじゃんか」
「それとこれとは話しが違うの!!ほらとっとと歩く!!」
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