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「あー…‥ねみぃ」
「…‥ごめん」
鷹が眠気を噛み殺すように言うと、横を歩いていた準汰が申し訳なさそうに謝った。
今二人が居るのは学校に続く最後の坂道、通称「長坂(ナガザカ)」。準汰達が通う学校は坂が多い場所に建っている。その為学校に行くには多くの坂を登って行かなくてはならない。その時の最後の坂が長坂だ。他の坂よりも遥かに長く急なため、そう名付けられた。
遅刻常習犯の生徒の間では、「魔の長坂」と呼ばれているらしい。あの坂の長さと急さが体力を徐々に奪い、仕留められるのだという。
そんな事はさておき、今準汰と鷹はその坂を登っている途中だった。時刻は7時35分、周りには何人もの生徒が最後の長坂に体力を奪われていた。
結局あのあと鷹は準汰の部屋にいき、なんとか相手を宥めた。そこから準汰のウェディングドールを見た。
それは、高校2年生が作ったとしては完成度が高く、あまりの素晴らしさに鷹は拍手した。しかし、その行動がいけなかった。
誉められた事に気を良くした準汰はそのまま専門用語で萌えポイントを語りだした。つまり、職人精神のスイッチが入ってしまったのだ。こうなった準汰を止めるのは至難の技だと言うことを知っていた鷹はそのまま語らせておいた。
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