#2 お礼クッキーと影

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「一時間目なんだっけ?」   鷹がカバンを漁りながら聞く。   「確か…倫理じゃなかったか? と言うか、今は移動教室だからお前は此処にいるんだろうが」 「げっ?!教科書置いてきた!!ロッカー行ってくる!!」   言うと鷹はロッカーへ走って行った。授業開始まであと3分、鷹は授業に間に合うのか。   「…‥間に合わない、な」   ふっ、と笑うと隼汰は自分の準備に取りかかった。       結局の所、鷹は授業に間に合う事が出来ずに遅刻扱い。 シュンと一緒だから油断したー、など言いながら教室に戻って行った。 まぁ、それも無理も無い話なのだが。     隼汰達が通う学校は周りの学校と違う。ハッキリ言ってしまえば、頭の良さが物を言う。つまりは進学校。   頭の良さが物を言うのは何処の学校も一緒だ。しかし、この学校はそれだけでは終わらない。   「レベルチェンジ制度」   通称、段階換え。 これは頭の良い悪いでクラスが変わる制度だ。 上からSA,A,B,C,Dとなっている。   入学当初は、頭の良し悪しに関係なく割り振られる。なぜなら一学期には文化祭が有るからだ。頭の良い人が一点に集中してしまうと、文化祭が滅茶苦茶になるためだ。 この時の2,3年生も、入学当初のクラスで一学期を過ごす。   段階換えが適用されるのは、一学期の期末テストと二学期の期末テストの2回。   その2回のテスト結果でクラスが振り分けられる。 テスト結果は正門前の掲示板に貼り出されるものと、担任がバッチを配るもので分かる。 生徒達は当たり前の如くより上のクラスを狙う。その最終目的はもちろんSAクラスだ。SAクラスになるには様々な条件が付くのだが、3年の二学期にSAクラスになると国立,私立関係なしに学校推薦が貰えるからだ。大学や企業、研究所から声がかかることもある。     これが隼汰達が通う学校の特殊点。 周りの学校と違う所だ。 つまり、頭の良い隼汰と鷹はついこの前まで同じクラスだったということだ。クラスはもちろんSAクラス。鷹が間違えてしまうのも無理は無い話しだ。     当たり前の如くSAバッチをした隼汰は、ため息をつきながら窓の外を見た。   つまらない授業。 つまらないクラスメイト。 特別扱いする教師……。     このクラスのなにもかもがうんざりだった。
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