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その頃から、とある噂が現れるようになった。潮干狩りの時期になると、絞殺された麦わら帽子の少年が現れるのだ。
彼は潮干狩りを楽しむ人達の背後から、そっと囁き、脅かしていく。これが殺人事件と合わさって、潮干狩りに現れる絞殺魔の噂になったのだと、私は勝手に推測する。
どこかで、噂話が花を開く。
「あそこの自動販売機…………」
「あの町では、ソムリエと主人が………」
「あそこのビルには突き落とされたした女の…………」
「あそこの家は夫が妻を殺したで、なんでか、猫が…………」
噂なんて、そんなものだ。勝手に広まって、勝手に消えていく。
私は道を歩く。やりたいことは未だに見つからない。無気力さんなままだ。でも、こんな物語を知っているだろうか?
潮干狩りに行くと、無気力な奴を励ます変な幽霊の話を、
「さぁ、これから何をしよう?」
無気力ながらに、ほどほどに頑張るとしよう。
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