リーダー研修会

3/18
前へ
/227ページ
次へ
「事件に巻き込まれるなら、二人だけでやってくれ」 武志先輩はすっかり呆れてる。 「あら、だめよ。私達は少年探偵団なんだから、殺された可哀想な顧問の先生の仇を取らなきゃいけないの」 いつの間にやら殺人事件が発生してるし。 「勝手に殺すな。ほら、少しは鈴城も反論してくれ」 すっかり殺される予定の藤原先生に名前を出された。 けど、無理。 「気持ち悪い……」 「え、おい、大丈夫か?」 あんまり乗り物が得意じゃないのに後部座席の真ん中にされて、両隣はガンガンしゃべって飲んでスマホいじったりして、いつも通りに元気いっぱいなんだもん。 それでなくても、最近は快適空間に慣れすぎたせいか、今日の気温は凶器みたいで辛い。 今朝、見送りで聡子さんが餞別にくれた、凍ってたグリーンDAKARAもすっかり生温くなってる。 「しぃぬぅ」 「もう少し頑張れ。ほら、見えてきたぞ」 北海道らしくどこまでも真っ直ぐな国道を走る窓の外には、うっそうとした緑と、白い三角形の建物が見えた。 「あれが、砂川こどもの国だ」 名前だけ聞くと、複雑なお年頃には抵抗がなくもない公園名だ。 「今日はそっちじゃないんでしょ」 貴文の指摘通りで、今日は真面目な研修があるとか。 明日が、今見えてる公園で、交流という名目のフリータイムになってたはず。
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加