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「事件に巻き込まれるなら、二人だけでやってくれ」
武志先輩はすっかり呆れてる。
「あら、だめよ。私達は少年探偵団なんだから、殺された可哀想な顧問の先生の仇を取らなきゃいけないの」
いつの間にやら殺人事件が発生してるし。
「勝手に殺すな。ほら、少しは鈴城も反論してくれ」
すっかり殺される予定の藤原先生に名前を出された。
けど、無理。
「気持ち悪い……」
「え、おい、大丈夫か?」
あんまり乗り物が得意じゃないのに後部座席の真ん中にされて、両隣はガンガンしゃべって飲んでスマホいじったりして、いつも通りに元気いっぱいなんだもん。
それでなくても、最近は快適空間に慣れすぎたせいか、今日の気温は凶器みたいで辛い。
今朝、見送りで聡子さんが餞別にくれた、凍ってたグリーンDAKARAもすっかり生温くなってる。
「しぃぬぅ」
「もう少し頑張れ。ほら、見えてきたぞ」
北海道らしくどこまでも真っ直ぐな国道を走る窓の外には、うっそうとした緑と、白い三角形の建物が見えた。
「あれが、砂川こどもの国だ」
名前だけ聞くと、複雑なお年頃には抵抗がなくもない公園名だ。
「今日はそっちじゃないんでしょ」
貴文の指摘通りで、今日は真面目な研修があるとか。
明日が、今見えてる公園で、交流という名目のフリータイムになってたはず。
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