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「全部ひっくるめてこどもの国らしいけどな。最初は、奥の施設を借りて講習会だ。その後、キャンプ場でテントの用意と夕飯の支度。それも研修の一部だ。しっかり身に付けろよ」
「キャンプなんて久しぶり。5年の時に学校でやったきりだよ」
あ、意外。
ター様なら、夏休みに必ず海とか山とか行きまくってそうなイメージなのに。
「たけるんは?」
俺の具合の悪さをすっかり忘れてるのか、ター様はウキウキな陽気で容赦なく質問してくる。
「あー、俺も小学校ぶり。2・3前に友達の家族に連れてってもらった以来かも」
「へえ。たけるんにもアグレッシブな時代があったんだね」
なんつー感想だよ。
「レオレオと武志っちは、去年も参加したんでしょ」
「そうよ。でも、去年はバンガローだったから、火おこしくらいしか苦労してないのよね」
「よく言う。いやーん、出来ない! とかぶりっこいて、全部男子にやらせてたろ」
レオ先輩の言動より、武志先輩のモノマネに驚く。
表情は変わってなかったけど、武志先輩でも浮かれてたりするのかも。
「そうそう、あれは快感だったわ。あの後、温泉入った時のショック受けてる顔は愉快でしょうがないったら。ほーほほほ」
高笑いしてるし。犠牲者にご冥福をお祈りしよう。
「今年もやりたかったわ」
なんだ、今年はやらないのか。
もちろん、その方がありがたいんだけど。
「去年の参加者が結構いるからな」
なるほど。
事前に渡された名簿には、5つの学校名。
各学校に一人ずつの引率者と生徒を合わせて、計21人の参加だ。
多いというべきか、少ないというべきか。
「もうすぐだ。散らかした荷物はまとめておけよ」
「はーい」
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