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見えてきた研修会場は、山の中の赤い屋根の建物だった。
「んもー! かよわい女子の荷物を持ってくれる紳士的な男子はいないわけ?」
車を降りたら、プンスカした苦情が飛んできた。
振り返ったら、レオ先輩がふくれてた。
かよわくもないし、女子でもないですよね。
そもそも、2泊3日でボストンバッグ大とキャリーバッグと肩掛けってなんですか。
もれなく寝袋がついてくるっていうのに。
ちなみに、一番荷物が少ないのは、正真正銘の女子である武志先輩。
なんだかなぁ。
そんなレオ先輩は、藤原先生にボストンバックを持たせたら、今度は鏡をチェックし始めた。
「何やってるんですか、行きますよ」
「ちょっとだけ。よしっと。ねえ、完璧?」
大きな帽子とサングラスをはずしたレオ先輩は、髪に櫛を通して、リップまで済ませてる。
キャリーバッグ片手に、あれこれポーズをとって見せられたってなあ。
「ポイントは、襟元のリボンが自慢のチュニックと素足のバランスよ」
わざわざ解説して、素足に編み上げの凝ったサンダルを見せてきた。
たかが研修会なのに、やけに気合いが入ってるな。
「完璧です」
こういう時は、とりあえず褒めるに限る。
「でしょー。さーて、みんな、行くわよ!」
すっかり張り切って歩き出すレオ先輩。
なんなんですか。
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