22人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふーん、まあ、今年はピンクをやめたのは賢い選択じゃない。でも、リボンがかぶってるわね。それでも、私の方が大きいし多いけど」
バトル内容は服装に移った。
確かに、レオ先輩は白とブルーだし、向こうは全身ピンクだ。
リボンも、レオ先輩は襟ぐりにひとつだし、向こうは胸元の大きいのだけじゃなく、後ろにもスカートにも頭にもリボンだ。
「あら、大きさと数で競うなんて、センスの欠片もないのね。アクセントはワンポイントだから引き立つのよ。それに、アンタにその服、全っ然似合ってない。好きなものと似合うものが一致しないって可哀想」
上から目線バリバリの応酬だ。
「ぐっ……、相っ変わらずのようね。見てらっしゃい! 研修が終わるまでにはあんたの学校の奴ら全員、私のファンにしてやるんだから!!」
ふん!
っと、実にわかりやすい態度で奥に行っちゃったけど、センスについては負けを認めたらようなものだよな。
「ごめんね。また今年も迷惑をかけそうかも」
ほっぺが柔らかそうな男子が、武志先輩に謝ってきた。
「いや、あそこまで行くと面白い」
「そう言ってもらえると助かるよ」
と、まるでだめな上司を持つ部下みたいな会話をしてる。
見てたら、こっちに視線が向いた。
「僕、ポラリス中の柴田 久司。2年ね。よろしく」
にこっと笑いかけてきた。
久しぶりに、なんの含みもない笑顔を見た気がする。
これで、この人が隠れSとかだったら、人間不信になりそうなくらい気持ちの良い笑顔だ。
最初のコメントを投稿しよう!