第三話

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****************** 「定食っつったら、トンカツ定食だろ。」 「はあ?豚じゃなくて、牛だろが。焼肉定食!絶対コレで決まり。」 「バッカだな、お前ら~。肉じゃなくて、魚だっつの。焼き魚定食が一番。」 ………何の話だ。 昼休み。 食堂のおばちゃんから中華丼を受け取った俺は、そのまま真司達のいる席へ向かう。 いつものメンバーが並ぶ座席は、俺が見ても圧倒されるほど迫力があった。 真司に、鷹雄に、圭介に、広田。 この四人が一つのテーブルにかたまるだけで、何でこうも特別な空間に感じてしまうのか。 俺でこう思ってんだから、他の生徒なんて近寄り難くてなんねーだろうな。 思わず苦笑いがこぼれた所に、広田の声が響いた。 「おい、恭平!お前はどれだよ。つーか、焼肉だよな?」 「はげしくどうでもいいわ。」 「「ぁあ!?」」 三人の声を無視して、俺は真司の隣に座った。 「本当、どうでもいよね。」 そう言いながら、真司が俺ににこりと微笑みかけて来る。 真司はいつでも、柔らかい物腰に優しい声色で喋るから、側にいるとなんかホッとする。 でも、喧嘩や揉め事になると、誰よりも要領が良くて冷徹な恐ろしい面も持ち合わせているから、 きっとそういう矛盾した部分が、この独特の不思議な雰囲気を醸し出しているんだろう。 「さっきから定食と言えばっていうお題で、ずっと言い合ってるんだよ。」 「ふーん。俺は食堂のメニューの中じゃ、断然中華丼。この絶妙なとろみが最高なんだよな。」 「あはは、恭平も言ってること変わらないよ。」 「うるせー。」 こうして、いつもの当たり前な日常が過ぎて行く。 穏やかで、優しくて、俺にとってすげー大事な時間。 でも。 「そういや広田。てめぇまた女たぶらかしてただろ。」 こういう会話が出て来ると やっぱり、どうしても。 やり切れない気持ちに支配されてしまう。
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