4624人が本棚に入れています
本棚に追加
/440ページ
気が沈む一方の俺は、食も進まなくて箸の先でキクラゲをつんつんつついてみた。
いつもは美味い中華丼も、今日はあまり味がしない。
そんな時、真司が思い出したように口を開く。
「そうだ。今日夜ご飯ウチで食べない?焼肉用の肉を姉さんが大量に貰って帰って来たんだけどさ、
母親は今夜出掛ける予定あるからお前ら誘って食べろって。」
「行く!!」
一番に元気良く返事をしたのは、焼肉定食好きの広田だ。
続いて圭介、鷹雄も行くと返事をし、皆の視線が自然と俺へ向けられる。
……あ。
これは、断れないパターン。
「うん、行く。」
こうやって、三回に一回ぐらいは、放課後もこいつらと過ごす時間が作られてしまう。
真司達が嫌な訳じゃない。
むしろ、本当は全部参加したい。
こいつらといると、本当楽しいし、飽きないし。
でも。
そこに広田が加わると、楽しむ余裕がなくなるんだ。
皆のせいじゃない。
勿論、広田のせいでもない。
自分の感情が、こいつらとの大事な時間に水を差してしまっている。
楽しく過ごしているこの時間を、俺が邪魔をしているんだと。
そんな事を考え始めたら…なんかもう、皆に申し訳なくて。
泣きそうになるんだ。
最初のコメントを投稿しよう!