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「友達を増やすの?」
不思議そうに言う真司は、真っ直ぐな目で俺を見ている。
こいつの目は、全てを見透かしているようにみえて仕方ない。
いつだって冷静で、敏感で。
自分の気持ちまで真司にはバレてしまっているような、そんな感覚に襲われてしまう。
「そ。俺はな、お前らと違って喧嘩が好きな訳じゃないし、得意でもねぇし?
なのに、お前らのせいで俺まで他の生徒に敬遠されてんの!それは俺としては不本意な訳だよ、分かる?」
俺の言葉に、真司は少しだけ「あぁ」と納得したような顔をした。
クリアー…か?
「この前なんかな、廊下でちょっとぶつかっただけで、何度も思い切り謝られたんだぞ?
しかもそれ三年生だったし。すっげぇ申し訳ない気持ちになった。」
「あはは、よくある。」
楽しそうに笑ってんじゃねーわ、圭介!
「だからさ、俺は他の生徒とも普通に接してーの。まずは一人ずつ仲良くなって行って、
その内校内でも、千里真司のグループは怖いけど、春日君は普通だねって言われるようになるんだよ!」
ダン!とテーブルに右手を叩き付け、ドヤ顔で三人を見つめる。
「………バカじゃねーの?」
完全に呆れ模様の鷹雄が、冷たい目で俺を見た。
そしてまるで小さな子供をあやすような目で、真司が微笑みながら俺を見ている。
そして、広田は。
「………アホ。」
呆れてるのか無表情なのか、何とも判断し難い顔で溜息を付いた。
難関を突破したのに、なんでこう屈辱感と虚しさが残るんだろう…。
「恭平ってクールそうに見えて、マジお子ちゃまだよな。」
楽しそうに笑う圭介には、後で後ろから足カックンをしてやろう。
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