第三話

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今まで何度となく投げ掛けて来た疑問を、それでも何度となく問わずにはいられない。 なんで、広田なんだろう? どうして。 なんで、広田じゃなきゃ、駄目なんだーーーーー。 広田と別れ、すぐ後にトイレへ駆け込んだ俺は、ドアの鍵を閉め両手で自分の口を塞いだ。 苦しくて、情けなくて、切なくて。 もう、訳が分からなくて、叫び出してしまいそうだった。 溢れて来る涙を、声を漏らさずに我慢する。 泣く資格なんか、俺にはない。 酷いことをしているのは、俺の方なのに。 なんで。 なんで諦められないんだよ。 なんでこんなにも、好きなんだ。 ごめん、広田。 裏切ってて、ごめんーーーーーーーー! 「っ…………っ………。」 広田の、あの寂しそうな笑顔が。 ずっと頭の中に残っていた。
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