龍成の戸惑い

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「……お待たせ」 すげ、不機嫌全開の顔。わざとか? 「お疲れ」 「良かったね、元気が出て」 「は?──ああ、電話の話か」 てことは妬いてんのか。 「今度じゃなくて今会いに行けば?」 「や、別にいい」 「なんなら送ろうか?」 「…またやきもちですか」 「違うし。勘違いだから」 「じゃあ、華乃ちゃんは俺といたくないってこと?」 「龍成がわたしといるより他の子といたいんでしょ」 「俺は華乃といたいから今一緒にいるんだろ」 「……さすが遊び人」 「たまには素直に受け止めろよ」 「……帰るよ」 ここまでひねくれてると笑えてくるな。小学生かよ。 「な、この間夜景見たとこに行きたいんだけど」 「なんで?」 「帰っても暇だろ」 「だからってなんであそこなの」 「俺らの思い出の場所だろ?」 「たいした思い出もないけどね」 「いいから行くぞ」 「行くぞって、連れてくのわたしなんだけど」 「ぐだぐだ言ってるとちゅーするぞ」 「うぎゃ!」 駆け足で車に乗る華乃。 ……また無理矢理してやろうか。
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