龍成の戸惑い

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車に乗り、華乃が目的地へ走らせる。 「あれから誰とも行ってないよな?」 「別にいいでしょ、誰と行ったって」 「はあ?約束しただろ」 「約束って、本気で言ってたの?ていうか、なんで他の人と行ったらいけないの?」 「あのな、華乃の人生でたった一度かもしれない、たった一人かもしれない旦那様との思い出の場所だぞ?他のヤツと行く意味がわかんねぇ」 「そんなこだわること?」 「当たり前だ」 「……変な独占欲」 「は?まさか、ほんとに他のヤツと?俺が仕事で華乃が休みの時か?つーかお前、休みの時何してんだよ」 「おデート」 「は?!」 「素敵な殿方とおデートしてました」 「ふざけんなよ!前に言ったよな?!マスコミがどこで見てるかわからないって!!」 「ちょ、ちょっと待ってよ!冗談だから!休みはひたすら就活!あそこにもあれから行ってないから!」 ……冗談? 「そんな本気にしないでよ。…変な龍成。普段ならけなしたり笑ったりして流すくせに」 ……確かにそうだ。 なんで真に受けてんだ、俺。馬鹿だろ。 自分に笑えてくる。
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