一章

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携帯を確認しようとして、思い出した。 鞄、凌の部屋に置きっぱなしだ。 いつもの癖が祟ったのだろう。 これじゃあ、明日の朝取りに行かなきゃ。 おばさん届けてくれないかなー、なんて甘い考えは、今までの経験上無理と分かっている。 「サイアク…」 何もかもが面倒臭くなって、制服のままだったけど、ベッドに横たわった瞬間。 『美菜』 「っ!!」 昼間のことが思い出されて、跳ね起きた。 白い肌、長いまつげ、さらさらの黒髪。 凌は、女の子なら誰でも羨むような整った顔立ちをしている。 だから、モテる。 だから、彼女もいる。 なのに。なんで。 抵抗出来なかった自分も、嫌いにさせてくれない凌も、大ッキライだ。
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