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翌朝、凌が家を出た頃を見計らってから、鞄を取りに行った。
「あら、美菜ちゃん。昨晩は夕飯良かったの?
美菜ちゃんの好きなクリームコロッケだったのに」
おばさんが残念そうに言う。
なんてバッドタイミング。それもこれも全部、凌のせい。
「ごめんなさい。ちょっと色々あって...」
さすがに、凌に襲われたなんて言えない。
「そう?そう言えば、凌も様子が変だったわね。二人、喧嘩でもしたの?」
ギクリ、と体が強ばる。
「ま、まぁ...。あ、あの、遅刻するからっ」
「今日はスパゲティにするから、早く仲直りして食べに来てね」
何も知らないおばさんに罪悪感は募るけど、曖昧に笑って私は学校に向かった。
「はぁ」
「でっかいため息」
席についた途端に横から声がして、固まった。
「何?警戒してる?」
その言葉に反応するように、最大限離れる。
ほんとになんというか。
出席番号順に座っているうちのクラス。
坂井凌
高木美菜
何の因縁か、凌の隣になってしまったのだ。
最初は大喜びだったのにね...。今は......。
ぷい、と背を向けると。
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