二章

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「心配しないでよ、ほら。 私、ジュース買ってくるから。今日は何がいい?」 あてもなく教室を出ても暇を持て余すだけなので、こうして私たちは毎日ジュースとプリンを買って中庭で時間を潰してる。 「じゃあ、アップルティーで」 そう言って人混みに紛れる瞳と別れて自販機へ向かう。 人気の購買よりも自販機で買う方が早くて、私は一足先に中庭のベンチに座っていた。 「高木」 「ひゃっ」 「うわっ」 突然肩を叩かれて、驚いた拍子に飲みかけのグレープティーを零してしまった。 「あ、ごめ…って、梶野くんかぁ」 「なんだよ、そのガッカリ感。地味に傷ついたぞ」 「ごめんごめん」 梶野くんは隣に座ってワイシャツを私に差し出す。 ん? 「ここ。零されたんですけど。 俺、メッチャクチャグレープ臭するわ」
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