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凌とは、家が隣だ。それは、幼馴染というだけじゃなく、もっと深い理由がある。
「お邪魔します」
スタスタと勝手知ったる風に上がり込む凌。
「ちょ、本気?」
慌てて部屋の前で通せんぼするけど、凌はそんなの余裕でかわす。
「いつもうちなんだから、たまには美菜んちでもいいだろ?」
「っでも!」
「…でも?何」
そう言われると、言葉に詰まる。
そして、そんなことなどお見通しだというように笑って、ドアを開けた。
「へぇ、意外と綺麗にしてるじゃん」
ベッドと机とクローゼットと、少しの雑貨。
我ながら、今どきの女子高生にしては殺風景だと思う。
「…それ、嫌味?」
「あ、いや」
気まずい空気が流れる。
うちは、両親がほとんど家にいない。
お父さんは会社の重役で、仕事漬けの日々。
お母さんは夜の街で働く水商売。きっと今は、新しいカレシとどこかに住んでるはず。
唯一の家族とも呼べるお兄ちゃんは、結婚してしまってもう家にはいない。
だから、この家には私1人。
「私の部屋にいても、面白くないでしょ」
何もすることがないから。
「ねぇ、凌の部屋に戻ろ…」
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