一章

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戻ろうとすると、手をぐいっと引っ張られて、ベッドに倒れ込む。 「凌?」 ベッドに座った凌は、掴んだ手を離してくれない。 「すること?…作ればいいじゃん?」 妖しく笑った凌が、私の顎を指で捕える。 「ちょ、凌?何してるの…?」 急に雰囲気が変わったのを感じる。 いつもの凌じゃない。 「黙って」 そのままゆっくりと、整った顔が近づいてくる。 「し…っ!!!」 しの、と言いかけた言葉は呑み込まれてしまった。 最初は抗っていた手も、段々と力が抜けて、凌の思うままに私はただ受けていた。 なんで? 頭の中ではずっとそう思っているのに、体は凌に逆らえない。 「んっ」 肩を押されて、布団に倒れた時、やっと体が反応した。 「なん、で!!」 正確には、凌を叩き倒したのだけど。 「なんで?凌、おかしいよ…」 いつの間にか涙が溢れていた。 「美菜、」 「やめて!」 手を伸ばした凌に背を向けて、一目散に逃げ出す。
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