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「美菜!!」
凌が叫んでいたけれど、無視して家を飛び出した。
なんで?なんで、私なの。
さっきから、その疑問ばかりが頭をぐるぐる回る。
凌には、ちゃんと彼女がいるのに。
私を恋愛対象とは見れないって言ったのに。
凌が、わからないよ…。
闇雲に走って着いたのは、高校。
何を考えていても、足はちゃんと通学路を覚えている自分に呆れる。
「どうしよ」
凌がいるかもしれないから、帰れない。
でもあれは私の家だし、他に帰るところなんてない。
仕方なく、近所の公園のブランコに座って、1人キーコキーコと漕いでいた。
「高木?」
不意に声がして、見上げたら同じクラスの梶野くんが立っていた。
自転車を引いているから塾かなんかの帰りに通りがかったのだろうか。
「何してんの、1人で」
一瞬、言葉に詰まった私は無理矢理明るい声を上げる。
「童心に帰ろうと思って」
「ふっ。無茶苦茶」
自転車を止めて、こちらに近づいてくる。
「あの、」
「暗いから泣いてた、って分かんないから大丈夫」
「…分かってるじゃん」
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