一章

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「何言ってんだよ?野宿でもする気か」 呆れたように私を見下ろす梶野くんに、返事しないでいると腕を掴まれて立ち上がらされた。 「何するの。私帰りたくないよ」 「マジで野宿?アホか」 鼻で笑って、でも、と続ける。 「こんなところにいたら危ないから帰るぞ」 「嫌だってば」 「どうせ原因は坂井だろ」 凌の名前が出て、思わず足がすくむ。 「…図星かよ」 「うん…」 黙ってしまった梶野くんから、腕を抜く。 やっぱりシラケるよね、こんなこと。 「迷惑かけてごめん。ありがと。 じゃあ、おやすみな…」 「そんな奴、殴ってやれ」 ……え? 上段かと思って顔を見たら、本気だった。 「な、殴るってなんでまた」
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