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頃合いを見てお客様に申し上げます。
「ここにはメニューはございません。 お客様が選んだ色に合わせて、カクテルを作って参ります。」
「えっ!」
「お支払いは1杯500\ですが、お気に召したらお支払いください。お気に召さなければお代はけっこうでございます。
いかがなさいますか?」
わたくしがそう言うと、しばらくお考えなさいましたが、小さくお尋ねになさないました。
「色の見本って、無いんですか?」
「それでは色見本は、こちらでございます」
わたくしが、手書きの色見本を差し上げますとお客様は不安な色で受け取りなさいます。
その姿勢でしばらくお客様は色見本を観察していることでしょう。
いましばらく間が空きますので、観測してございます貴女様方にも判るようにわたくしがご説明申し上げましょう。
基本は喜怒哀楽の4つの色でございます。
喜はよろこびの黄色
甘さと酸味のバランスが若い色をご賞味ください。
怒はいかりの赤色 ブラッドオレンジとトマトにタバスコを加えた炎のような情熱の色でございます。
哀はかなしみの藍色
皮付き葡萄でも渋いものを抽出して柑橘類の爽やかさで薄めてございます。苦渋する悩みの色でございます。。
楽はたのしみの空色
夏休みのわくわくした色に休みの終わりを思わせるグレーをアクセントに入れてございます。
この基本色に橙色、碧色、水色、紫色の四色加えて8つの色をわたくしが創らせていただきました。
わたくしのオリジナル四色はこちらです。
若さの橙色。
少々酸味が強くしてございます。若く溌剌とした色をお楽しみいただけます。
癒やしの碧色。甘さの中に苦味のアクセントを利かせてございます。苦さが甘く暖かく癒やされてゆく色をお楽しみいただけます。
儚さの水色。甘さを抑えて溶けていくような発泡を加えてございます。儚い色をご賞味ください。
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