第1章

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「未来(みく)は?」 続けて旦那もお風呂から上がってきた。 バスタオルで髪を拭きなが近づく気配に、欝陶しさを感じる。 「起きないよ、多分朝まで」 簡単に返事をしながら近づく旦那をスルリとかわす。 「あたしも入ってくる」 「ちょっと待てよ」 言うが早いか腕をつかまれ、旦那の顔が近づいてきた。 「ごめん、お風呂」 力任せに腕を振りほどき、顔を背けた。 「……じゃ、待ってる」 (い…や。待たないで結構) この冷ややかな視線に気が付かない程鈍感なのか。 ―――――― お風呂から上がると旦那のいびきが寝室から響いていた。 (よかった…) とてもじゃないが、旦那に抱かれる様な気分ではない。それは今夜に限った事ではなく、結婚後暫くしてから抱かれる事が苦痛になった。 妊娠、出産を経てそれはますます顕著になり、私を苦しめた。 未来を一人っ子にはしたくない。 もう一人子供が欲しい。 子づくりの為の仕事だと思えば我慢できるだろうか。 しかし、 考えただけで悪寒が走る。
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