第1章

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寝室を覗くと、未来は軽く寝息をたてていた。 頬に優しくキスをして、布団を掛けなおす。 どんな夢を見ているのだろう。幸せな夢を見ていて欲しいと願いながら、 ふと、旦那のスーツに目をやった。 (さっきと違う) 直感的にそう思った。 肩がハンガーから少しズレている様な気がする。いや、ズレている。 私の捜し物はもう無くなっているだろう。 きっと処分されたに違いない。 (今日はアタリの日だったかもしれないのに) 期待と落胆。 入り交じる気持ちは複雑だ。 しばらくアタリはないだろう。 旦那のいびきは断続的に続いている。 安心しきった寝顔。 通った鼻筋。 長い睫毛。 サラサラの髪。 未来と同じ顔。 未来は旦那に よく似ていた。 寝顔まで一緒だった。
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