第1章

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既に何人かのメンバーが集まっていた。 怪訝そうに私を見る。 居心地が悪い。 先程の男性はこの会のリーダーらしく、 私をみんなに紹介してくれる。 紹介といっても、簡単なものだ。 ここではプライベートな情報は一切公表しない。 名前も年齢も職業も何もかもが伏せられている。 だから私の紹介といっても何もない。 ここに来る目的は一つしかないのだから。 【断酒会】 依存症の患者によるミーティング。 ただ、自分の思いを語るだけの会。 ここで聞いた話は決して外で話してはならない。 だから、安心して患者達は思い思いの気持ちを吐き出す。 みな、アルコール依存症の患者だ。 せっかく禁酒しても、一滴でも口にしたら、また0からのスタートになる。 毎日が誘惑との闘い。 そんな仲間と気持ちを共有する事で、お酒の誘惑から逃れられる。 こんな会が、全国至る所に存在していた。
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