第1章

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私が話す順番がやってきた。 何をどう話せばいいのかわからないまま口を開いた。 「私はアルコール依存症ではなくて、 ギャンブル依存症で… ソーシャルワーカーさんに、紹介されてきました。 依存症になる根っこは同じだから、何かの役に立つだろう…と 」 そこまで話して皆の顔色が一瞬変わったのがわかった。 (酒じゃないのか?) 部外者を見る目に耐えられず、 「話す事がまだわからなくて…… すみません…」 消え入りそうな声で呟いた。 「ここでの話は決して口外しないでください」 最後に念を押され、 小さな教会を後にした。 春だったのだろうか、秋だったのだろうか。 それすらの感覚もない灰色の季節は、まだ始まったばかりだった。
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