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「おーい、出るぞ」
スーツに手を伸ばした瞬間、浴室から旦那の声。
背中に冷や水。
全身の毛穴が開いた。
いつもより早い。
軽く舌打ちをして返事をした。
「はーい。今行く」
浴室が湯気で靄っている。全裸の旦那がだらしなく立っている。
「寝ちゃったよ」
「ホント?あらら」
旦那の腕には7ヶ月になる娘が気持ち良さそうに寝ていた。
シャンプーをする体勢になると安心するのか、すぐに寝てしまう。
バスタオルを両手に広げ、娘を受け取る。
ほんのり上気した頬が、ピンク色に染まっている。
起きる気配はない。
バスタオルに包みベッドへ連れていった。
用意してあった紙オムツと着替え。
ふんわり香る石鹸。
ミルクの匂い。
ムチムチしたほっぺた。
さくらんぼの様な口。
小さな手…。
握った掌には、きっと幸せが詰まっているに違いない。
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