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僕たちは物心がついた頃から、ずっと一緒に育ってきた。
互いに父や母と呼べる存在はいない。
この研究所にいる職員に交代で面倒をみてもらい、今まで育てられてきた。
捉え方次第では、職員の誰もが親であるといえるのかもしれない。
愛や情などというものは、誰にもかけてもらった憶えがないけれど。
余計な愛着がない分、僕たちにとっても都合がいい。
来月には研究所を離れ、戸籍上の母国に当たる、日本の大学への進学が決まっているのだから。
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