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駅前のベンチに腰を下ろして、それまで溜め込んでいた息を大きく吐き出しました。着の身着のまま、こうしてこの冷たい椅子に座るのは、別にそう珍しいことでもないのです。今年でもう、4回目。もちろん、年が明けてから。
ポケットで震えるスマホ。SNSの通知、電話、メール。こそばゆさが、鬱陶しい。
ちらちら、白い粒。六つ花、結晶、雪の華。
少し悴みだした指先で、コートに付いた雪をつまむと、じわり、溶ける。
部屋に暖房がないおかげで、とりあえず風邪は引きそうにないけれど、指先は凍傷になるかもしれないな。財布くらい持ってくれば、と後悔するのはいつものこと。今日は、手袋も追加。
寂れた駅前でも、まあそれなりに人はいるようで。カップルは雪の中を歩く習性があるらしく、喧しい眩しさが、目に刺さります。こんなところで私は、コートにジャージ。なんて不釣り合い。
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