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「…狙われた彼女が持っていたんだ、世界(ワールド)鍵(キー)メシアの瞳を。ブレイズ帝国の未公開国宝だったらしいが彼女が王子の命を救うためにそれを私に献上した。それがメシアの鍵だと判明したのはつい最近だがな。」
「ライドが行為的にあの事件を引き起こしたならその鍵を渡せばもう被害は無いのではないのか。」
「あの世界はこの世界のものだ。あなただってこの世界の歴史を存じているはずだ。メシアの民は大きな争いは決してしない、言語も我々と近いだろう会話でメシアを手に入れられる。あんな野蛮で嘘つき者共にメシアは渡せん。」
グリフが怒るような口調で言った。あまりにも真剣なグリフの様子を見てレーヴは真面目に質問をする。
「グリフ、本当にメシアへ行けるのか?」
「おそらく行ける、が他の世界鍵よりも所有者から奪う魔力が多すぎる。何回も使えるものでもはないし例え扉が現れても開けきれるかも不安だ。それにメシアのどこに扉をリンクさせるかも魔力で念じ照準をあわせないといけない。」
「そんな技術も魔術もないな。まず無理じゃないか。」
グリフは少し笑みを見せたが直ぐに顔を強張らせ落ち着いて発言する。
「…いや、適任がいる。…問題は奴との交渉だ。」
「!?」
「そのことについて会議で権力者を集めて話すんだ。」
クリスタルパレスの女王の館や翡翠の館などの王族宮殿に接続する大鏡の広間に、王子ジェイドとその従者エルベスが立っている。
「ジェイド、お前が悪いわけじゃないし、金村もロノの為に尽くせた。」
「わかってる。」
「…、いやお前わかってないな。俺はお前がそんなに暗い顔すんの見たくないんだよ。死人で後悔するほどお前は良い奴だ、なら今生きている俺たちのことも考えてくれ。」
ジェイドはエルベスに言われ余計に気を落としたが、エルベスは優しい表情で顔を近づけ目を見ていった。
「王子が元気なかったらみんな困っちゃうだろ。」
「…エルベス。」
ジェイドは涙を流しそうであったがにっこりわらってみせていた。
「安心しなジェイド。俺がどんな時も一緒にいるからな!カネムラのことは気に掛けるな、軍人としてとうに覚悟しているさ。それに考えても見ろ。」
「?」
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