捩花 第1章

3/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
朝起きて、なんだかすっきりした私に、 朝ご飯を出しながらお母さんは言った。 「なんか吹っ切れた?最近落ち込んでたから、ちょっと安心した。」 「ばれてたんだ。うん、色々あったけど俊とお別れしてきた。」 やっぱりお母さんはすごい。昨日の夕方だってそうだ。 私がどこに行くかも知らないのに、頑張ってね!なんて。 「そうなの、寂しいけどしょうがないね。お互いの事なんて、本人達にしか分からないんだからね。」 ほらまた、心のちょっとした棘も傷つけず抜いてくれる。 触れられていないように、治してくれる。 「うん、そうだね」 私は胸がいっぱいになって、 いつもなら食べ切れる朝ご飯を ちょびっと残して学校に向かった。 通学路も、道行く人も 昨日と同じ風景なのに、なんたか違う色に感じられた。 散り出した桜を踏んで歩く。 なんだか誰かの想いまで踏みにじっているようで、少しだけ涙が出た。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!