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「辛いことのほうが、多いぞ」
少し目を伏せて、視線をずらす先生の長いまつげをぼんやりと見つめる。
「できないことのだらけだ。
人前で正々堂々語れる相手じゃないし
、学校では特に距離置かなくちゃいけなくなる。
俺、部活あるから休みもほとんどない。
………フツーの高校生が経験できることの半分以上はさせてやれない。
俺といるってことは、そういうことだから」
「…………」
「………すぐに、ただの生徒に戻ると思ってたのにネェ。
樹じゃないけど、まさか俺がこーなると」
心底参った、という風に眉間にしわを寄せて笑うけれど、その瞳があまりにも穏やかで。
胸の奥から大きな波になって、愛しさがこみ上げてくる。
「前も言ったけど………
覚悟、できてンノ?」
口を開いたら、想いが全部こぼれ落ちそうで一瞬、間があいてしまった。
そんな私に先生は、ふは、と口角を上げて微笑みかける。
「ーーーー覚悟できてんなら、
エンリョなく、もらうケド?」
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