第1章

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ニヤリ、不敵に口角を上げる先生の瞳は、真剣な光を帯びて鋭いのに……… その奥に映された私が、艶めかしくて。 ドッーーーーーー。 心臓が今までにない刺激に、激しく騒ぎ立てる。 「アンタのこれから先の『全部』、 俺のだ」 ぐ、と強い力で顎を上に掴まれる。 その反動でだらしなく半開きになる私の口元に、先生がゴクリ。 唾を呑む喉仏が震えた。 その様子にゾワゾワとお腹から逆流する甘味に、全身が襲われる。 「俺をこんな風にした責任取って、俺にもらわれろ」 「上から目線………」 目の奥が熱くて、視界が緩む。 本当は嬉しくて仕方ないのに、つい、憎まれ口をたたいてしまう。 「はっ、そんなの今更でショ? ………で、どーすんの? みすみす逃がす気もないけどネ」   口調はいつもの強気な先生だけど。 お菓子をほしがる子供のように、私を待つ先生の瞳がとても綺麗で柔らかくて。 それだけで、もう、なにもいらないと思った。 「………喜んで」 そう微笑みかけると同時に、こらえきれない涙が頬を伝う。 その雫を親指で拭いながら先生もはは、と小さく笑った。 「なんだ、ソレ。 居酒屋か」
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