第1章

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思いがけない言葉に、電話相手に首を傾げてしまう。 『今まで………ヒドいことしてごめんね。 本当はちゃんと会って謝らなくちゃいけないんだけど、せっかく話すチャンスもらえたから、謝らせてもらえる?』 「そんな……」 『………昨日ね、私の彼ーーー航大のお葬式だったの』 「!!!!!!」 そんな………。 絶句して口を押さえる私に、悠花さんは静かに続けた。 『身元不明の白骨化した遺体が、彼の勤めていた関連会社の倉庫の跡地から見つかって……。 調べたらアジア系の人骨でね』 「…………」 『外務省から連絡が入って、彼のご両親が提供したDNAで鑑定した結果………… 彼だった』 「っつ…………」 『ふふ、優しいなぁ、郁ちゃんは。 泣かないで』 「ごっ、ごめっ………」 悠花さんの声は、透明で……あまりにも透明すぎて………痛い。
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