第1章

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『やっと………帰ってきたわ』 時息のように漏らした笑みの端が、揺れる。 『航大で間違いないって連絡受けた日………終わった、て思った。 私も彼のところに行かなきゃ、って』 静かに伝わる、悠花さんの悲鳴。 『お酒と睡眠薬たくさん飲んで………意識が朦朧としたとき、浮かんだのは航大でも恭一くんでもなく あなただったのよ』 涙をこらえようと息を詰めていた私は、まともに返事さえできないけれど、悠花さんもそれを求めていないかのように、話を続ける。 『あなたが私を見つめてた。 あの日の強い眼差しで。 そしたらね、”あ、私死ねないんだった”って、思ったの。 ”私もそっちに連れてって”ってあなたに手を伸ばした』 「手を………」 『そう………。 だから電話しちゃったのかな』 「………」 『恭一くんにも、喚きながら電話してたみたいでね、記憶にないんだけど』 気まずそうに笑って、言葉をつなげる悠花さん。 『恭一くんの顔見たら、もーどーでもよくなって、当たり散らして暴れまわって………。 なのに怒りもせず、止めもせず、ただ哀しそうな顔してじ、と私の好きなようにさせてくれる恭一くんにも、イライラしはじめる始末よ。 わがままでしょう?自分でも笑える』
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