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一度息継ぎをして。
「10年後、もっともっとイイオンナになって幸せになっておくから………。
その時また、別の勝負しましょう?」
そう言って笑う悠花さんの中には、あの日初めて話をしたときのような、壊れてしまいそうな脆さや儚さはなくて。
凛とした、とても素敵な笑顔の悠花さんが浮かんできた。
「………はい!」
花が咲いたような笑い声に温かなものが、胸の奥から湧き出てくる。
それが本当に心地よくて、泣き笑いのぐちゃぐちゃな顔のまま、強く答えた。
ーーーーーきっと。
悠花さんは、これから光を取り戻して眩しいくらいに輝きを増すんだろう。
私なんて到底及ばないし、そんな悠花さんに見惚れてしまうのは目に見えてる。
………だけど………。
もし、そんな未来があるのなら。
10年後、逢えるのなら。
絶対に逢いたい。
そして、今度は私ももっと大人になって………色んな話をしてみたい。
電話を切ったあとも、しばらくそのことばかり考えていた。
目の前の窓枠にとまっていた綺麗な蝶が一羽ふわり、朝日に照らされながら飛び立っていった。
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