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勘のいいすみれちゃんのことだ。
もう誤魔化せないだろうなと思いつつ、視線を外してむう、っとしたまま無言を貫く。
「郁ちゃん、イケメンハーレムなんだもん。
最初どれが本命か分からなかったわ」
「イケメンハーレムって………」
柴田君、嶋本さん、長谷川先生、そして先生を思い浮かべて苦笑する。
「男の子に話しかけられただけで私の背中に隠れてたような郁ちゃんが、まさかあんなに沢山心配してくれるお友達ができるなんて……。
大きくなったね」
ちらっとすみれちゃんを見ると、さっきまでのいたずらっ子のような笑顔とは違い、懐かしむような優しい瞳をしていて。
「………私だって、話くらいするよ」
気恥ずかしさから、どうでもいい返しをしてしまう。
「みたいだね。
彼氏までできてるんだからね」
「ち、ちが」
「え、彼氏でもない人とキスしちゃうの!?」
「っ!!もー、やっぱりすみれちゃん嫌い!!」
イヒヒ、なんてまた私をからかって遊び始めるすみれちゃんとの会話が一向に収集つかないことを悟って、病室の扉に向かう。
「あれ、どこ行くの?」
「………ちょっと散歩」
うまく嘘が浮かばずに、思わず妙な間が出来てしまった。
「そ?早く帰ってきてね」
「分かってる」
廊下へ出たそのとき。
「あ、郁ちゃん」
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