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すみれちゃんに呼び止められて、振り返る。
「冴島先生………だっけ?
郁ちゃんが好きになったの、あの人で良かった」
予想外に真剣な眼差しを向けられていることに驚いて、二の句が告げずにいると。
「昨日、私たちが病院着くまで先生郁ちゃんの側から絶対離れなかったんだよ。
郁ちゃんの手、握りしめたまま少し震えてた。
あーものすごく、大切にしてくれてるんだなぁってちょっと羨ましかったよ」
先生が………。
みるみる頬に熱が集まっていくのが分かる。
そんな私を見てふふ、と笑うその顔が優しくて思わずぷいっと反らす。
「本当は………もっと安全な恋してもらいたかったんだけどね」
眉を下げて、ちょっと悲しそうに私を見る。
長谷川先生にも言われたこの言葉が、きっとまともな考えで。
決してみんなに応援してもらえる恋じゃないんだって、改めて思う。
だけど………。
「すみれちゃん、私昨日、希ちゃんのプログラムやったんだよ」
「え?」
「制服脱いで」
「は!?」
ばっちりメイクされている目力アップの瞳が、一段と大きく見開かれる。
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