もう昔のことになりますが

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やれやれと言ったようにため息をついた彼は窓に背を向けると、部屋にある腰掛けに腰を降ろした。 そして再び考え込む。 「…………」 戦のない今が好機か。 だが言ったところで周りは一体なんと言うだろうか。 自身の自尊心が傷つけられる、なんてことはないだろうか。 今の劉義には、誰にも言えないような悩み事があった。 悩み事、とは言っても彼自身はそう受け止めてはいない。 戦国最強の名を手にする自分が悩み事なんて、という気と、なんとも面倒なことになったという随分と自分勝手な感情しか持ち合わせていない。 しかし誰かに頼まなければならないのも事実だ。 劉義は腰を降ろしたまま自分の頭の中に自身の信用がおける者達の顔を思い浮かべる。 二十三人いる側近達を順々に思い返して、そして全員を戦力から外せないことに落胆する。 珍しくため息をつき。 ふと二十四人目の側近が脳裏に浮かんだ。 桜家がまだ帝一族に仕えていた頃から忠誠を誓っていたという泉家の長男。 二年前、若干十六歳ながらも自身が側近に迎えた少年だ。
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