2 初対面

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「こちらへは、ご結婚か何かで?」 一番、聞かれたくない質問。 でも、わざとらしく聞いているようにも思えた。 「あっ…はい…」 私は渋々答えた。 「新婚さんなのに、こんな壁の薄いアパートを選ぶだなんて」 と、鼻で少しだけバカにしたように笑われた。 実は、このアパートを探し出して、選んだのも、この私なのだ。 2階の角部屋を探して、やっと見つけた賃貸物件だった。 騒音のない静かな暮らしがしたくて。 軽量鉄骨で、木造建てではない部屋をあえて探して、見つけた賃貸物件。 私は、言い返した。 「でもこのアパート、重量鉄骨の建物ですよ?」 と、言い掛けて、すぐに遮られた。 「いや、重量鉄骨でも、この家相当響きますよ。だから、実は重量だと偽って、木造建てなんじゃないかなぁって、僕はかなり疑ってますよ」 男はまた、意味有り気な笑みを浮かべながら、そして間を置いて言った。 「ちなみに僕、奥さんの真下の101号室の者ですけどね」 けどねって…。 もしかして今のは、遠回しにうるさいって意味なの? 変な人…。 さっきから何が言いたいのかしら。 ハッキリ言ってくれたら良いのに。 それに、偽ってるだとか、疑ってるだとか。 相当響きますよと散々言っておいて、最後に、私の部屋の真下に住む者だと言われたら。 イヤミにしか聞こえないじゃない。
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